ユズリンキャラクター
新着情報
プロフィール
スケジュール
ライブラリ
ユズリン日記
学校公演・コンサートのお問い合わせ お問い合わせ
SBSラジオ「ユズリンの音楽日記」
ユズリン日記 HOMEINDEXBACK

安心感をありがとう

2004年6月8日

 みなさま、本当にいろいろとご心配をおかけしました。
天才おぼっちゃまも、無事に復活いたしました。

「えっ、何のこと?何かあったの?何なに、何?」

そうですよね。コンサートや研修会に参加していない方は、わけがわかりませんよね。
実はですね、ずっと具合が悪かったんです。ほら、ご幼少の頃から温室育ちでしょ?
なんたって、ピアノよりも重い物は持ったことがないしね…。え、充分すぎるの?

どうもこの何年間か、春は不調なんです。身体は動かないし、頭痛やら腹痛やら、気持ち悪いやら、そして声も出ない!
ある人に言われました。「春は極端に仕事が少ないからじゃないの?もっと働け働け!」
う〜ん、そうなのかなあ?しかしですね、ある意味本当なんです。こんな声でも歌い続けていないと、声が出なくなっちゃうんですよ。継続は力なりです。

 先日(6月6日)、広島の教員の研修会では、仲の良い音響さんのまこちゃんに言われてしまいました。
「中山さん、はしゃぎすぎですよ。おさえてください。」
 ちょうど、僕の最初の教え子と同い年の子から「はしゃぎすぎ…」。どんな状態のおぼっちゃまだったのか、ご想像ください。ああ、おそろしい。だってさ、5月はじめのTo Youレク(広島)では新しいCDも出たばかりだし、新しいダンスも楽しみだったのに、そのダンス一回踊っただけで、顔は土気色…。動けなくなって、息も絶え絶え。だもんで、今回はうれしくてうれしくて…。こんなに動ける事がうれしいだなんて、まだまだ若い!(って言うこと自体がすでに若くない!?)う〜ん、さすが調子に乗りやすい、天才おぼっちゃまなのでした(そうか、「天才」って言うのは、人とは違うっていうだけの意味だったのか)。

 自分の体が不安で眠れなくなってしまった夜があったんです。人間って、どうしても悪い方に考えてしまうでしょ?気力もなくなっていくし。そんな時、思い切って電話したんです。高校時代の友達で、昨年、PTA会長として僕をコンサートに呼んでくれた、御殿場の奥の小山(おやま)に住んでいるI君です。今はお医者さんをしています。
夜遅いのにもかかわらず、彼は聞いてくれました。

「耳の下を触ってみて…。それから、どんな症状だったの?」

なぜか、彼にはすべてを話せたんですね。すると一言

「大丈夫、大丈夫。今ねえ、そういう症状が多いんだよ。緊急は要しないから。」

 この一言がどれだけ僕を救ってくれたことか。
 その瞬間、ほっとして安らかな眠りにつけたんです。

 思い出したんです。祖父が入院していた時のお医者さんを。
 当時、今の僕よりも若いお医者さんでしたが、祖父が夜眠れなくてと言えば、

「眠れなくても死ぬ事はないよ。」

 そして頭痛がすると言えば、

「検査結果では何にもないんだよ。これ以上、俺に何をしろっていうわけ?」

 一緒に聞いていた僕はあぜん。でも、何か意見したら、祖父が見放されたり、意地悪されたりしたら困ると思って必死に耐えたんです。いちばん苦しかったのは、祖父です。でも、もう何も言わなくなってしまいました。最後にはひとこと、「ゆずる、病院を替えておくれ。」もちろん、すぐに替えました。

 お医者さんって、看護婦さんって、きっと、治療や手術をする前に、「気持ちや身体が弱っている患者の心を安心させること」が第一の仕事じゃないのかなって。
 ただただ、聞いてくれるだけで効くんですよね。
 うそでもいいから、受け入れてくれること(あ、うそなんて書いてごめんね。これは、例えばの話ね)。それが、大切なんじゃないのかなって。

 中学二年生の時の担任は、草間先生という英語の先生でした(女性)。
 思春期真っ盛りでしょ?知らなかった事がいっぺんに飛び込んできてしまい、なかなか整理できない自分に腹がたったり、大人の醜さや矛盾に悩んだり。草間先生は、黙ったまま、放課後一時間以上、話を聞いてくれました。うん、うんってうなずきながら。アドバイスとか結論なんてありません。ただただ、否定せずに僕の話に耳を傾けてくれたんです。職員室を出る時のさわやかさ、そして落ち着き。今でも忘れられません。

 高校時代の友達っていうことも大きかったのかな?I君には、感謝のしようがありません。本当にありがとう。そして、僕も歌うときに、もっともっと気をつけなきゃね。無理かもしれないけど、一人も傷つけないような言葉をていねいに選び、話し方も考えて。おぼっちゃまは口数こそ多いんだけど、言葉が足りなくてね…。

 お母さんの笑顔、父さんのたまにしか見られないけど笑った顔、そして、先生のニコニコ笑顔。これが、子ども達にとっての、いちばんの魔法の薬なんですよね。

 さあ、復活おぼっちゃまは夏に突進しますよ〜!
 みんなで歌いましょうね、踊りましょうね。笑っちゃいましょうね〜。
ちょっとうるさいかもしれないけど、我慢してね!じゃあ、そういうわけで、よろしくね!