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遅まきながら、岩手県へ

2011/10/13

まだまだボランティアの方もいっぱいでした

9月中旬。
初秋の風が吹く中、岩手県の陸前高田市に行ってきました。
うちの所長、ピカリンが、ず~っとボランティアで保育園などを回り、子ども達に笑顔を届けています。そのお手伝いが、少しでもできればと、ほんの少しですが、スケジュールの合間を縫って、出かけたと言うわけです。

準備も万全そんな話をしていたら、音響のモロちゃんも「行きます」とのこと。
一関駅で待ち合わせ(モロちゃんは自動車ゆえ)、カーナビを頼りに、車を走らせたのであります。

陸前高田市に近づけば近づくほど、周りの様子は変化していきます。
言葉もなく、ただただ、見つめるだけ。


道もなくなっているわけで、カーナビも頼りになりません。
それこそ、道なき道を走っているわけです。

というのは、仮設の道路が作られていて、ダンプやトラック、もちろん地元の自動車も、そこを通っています。ほこりを上げて、ひたすら、走るだけです。

あたり一面、まるで草原のようなのですが、それは、草原ではなく、人家があった跡。
流されてしまった家々の土台のみが残り、それを覆い隠すかのように、草が自然に生い茂ってしまっているのです。

残った建物も、遠めには、きちんと建っているように見えるのですが、柱と壁があるだけで、中はがらんどう。そう、みんな津波に持っていかれたわけです。

線路は錆び付いていて…でも、花はそれでも勇気をくれます。スクラップ同然の自動車も、何百台という単位で、その草原に見える空き地(いえいえ、空き地ではありませんね。本来、人が住んでいた土地なんです)に、整然と集められ、並べられてあります。それが、一箇所ではなく、こっちにも、あっちにも。

運転するモロちゃんも、僕も、言葉はなく、出てくるのは、大きなため息ばかり。


その日の午後、保育園に向かいました。
高台にある保育園の園舎は、見た目、普通。
変な言い方ですが、普段どおりの「普通」です。
でも、うかがえば、当然のように、水は入ってきて、泥まみれだったんだと。
でも、なんとか残ったんだよと。

さあ、準備をして、いよいよ、子ども達や先生方との対面。
ピカリンは、どんな具合に進めるのかなと、とてつもない緊張感に包まれて、見守っていれば、その様子は、いつもの遊びの会と、まったく変わらないんです。

宿のそばを歩いてみると、猫が。この猫も苦しい中、生き延びたのかなぁ?きっと、ピカリンだって、最初は悩んだと思いますが、普段どおりに全力で遊ぶことで、きっと笑顔が生まれる、広がる、よみがえるって、信じていたんでしょうね。
実際、子ども達は、夢中になって走ってくれるし、くいついてくるし、年長の女の子には「おこってる~」とか、電子ピアノの椅子に座り、ただ、足を交差させていただけなのに、「かっこつけてる~」なんて、ちゃかされるし。


子ども達の、したたかとも言える強さに、たじたじでした。

でもね、先生は違うんです。
笑いながらも、涙をいっぱい浮かべて…。

ただ伴奏だけじゃないので、何かしなきゃと。
でも、出てこないんです。
何をしたらいいのか、ちっとも浮かんでこないのです。

結局「手をつなごう」で遊んだだけでした。
泊まった宿(温泉が出るんです)には、ボランティアの方々がいっぱい!
その、何もない狭い部屋に寝ながら、思いついたのが、やっぱり、あれだ!と。

鉄橋も流されたままでしたそれは「少年少女冒険隊」を、いつもどおりに踊ることでした。
案の定、翌日の保育園では、みんなみんな、力の限り踊ってくれましたよ。
汗かいて、笑顔で、友達や先生と手をつないで。

もう一曲は「きみとぼくの間に」。
「先生」は歌えませんでした。
歌う自信がありませんでした。


最終日、花巻の方に移動し、そこでの研修会。
急な中、40人くらいの方が集まってくださいました。運動会翌日だし、日曜日だし、疲れているのに、まあ、集まってくださったこと。

ダンスもやり、遊びも楽しみ、そして、最後、ここでは歌いました。
そうです、「先生」を!

たくさんの方が、涙をこらえながら、いえ、こぼしながら聞いてくださいました。
何をかくそう、僕のほうが危なかったんですけどね。

保育園を見つめるヒマワリ今も整理がつかなくて、ちょっと悩んではいますが、でも、事実を見たこと。
そして、話をうかがったこと。
忘れずに、これからのコンサートに生かしてゆけると信じています。


「あの夜から3日間、保育園に泊まったんです。子ども達も先生も。親御さんとは連絡が取れないし、ここまでの道も破壊されてしまっているし。電気も、ガスも水道も、みんなみんなダメ。でも、子ども達の前では泣けないでしょ?励ましあって、きっと、助けが来るって信じて、みんなで過ごしたんですよ。」


増税は当たり前。
放射能は大丈夫。

それを繰り返す、テレビや新聞、雑誌。
本当なんだろうか?

「少年少女冒険隊」のように、真実を見つめられる心でいたいわけです。
「耳澄ませて 目を開いて」科学的に物を見る…今また、その意味が身にしみています。
知らないでいると、自分に災難が降りかかってくるからです。みんなが不幸になるからです。

やっぱり、笑顔がいいものね。
何気ない毎日がいいものね。
どんなに退屈でも、平和がいいものね。
生まれて良かったって、思える方がいいものね。
人生、まっとうしたいものね!
ね!


子どもたちの笑顔は、未来そのもの!